震災で生まれた「木造住宅は弱い」という誤解

地震大国、日本。私たちはこれまで阪神淡路大震災や東日本大震災など大きな災害を体験してきました。

そのため、日本は世界でも地震に対する様々な技術やノウハウが進んでいます。
耐震や免震など住宅分野は、特に日々進歩しています。

そういった技術が進歩する中でも震災以降、木造住宅は地震に弱いということが様々なところで言われてきました。
実際に阪神淡路大震災の映像がテレビで流れたときに、倒壊している建物は木造が非常に多く、そう感じられた方も多いのではないでしょうか。

木造住宅の安全性は実証されています。

阪神淡路大震災では住宅の全半壊が約21万棟、犠牲者は約6300人という大きな被害をもたらしました。実際に被害にあった住宅を調べたところ、古い住宅ほど被害が多くなっていました。それは、耐震のための耐力壁の量が少なかったりと元々求められる耐震性を満たしていないことが原因でした。住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)が当時融資していた住宅の被害状況をまとめたところ、建築基準法に基づき適切に建てられた建物は大きな被害を受けていませんでした。

また近年では、各住宅メーカーが実物大の住宅を震災を再現した揺れで揺らし、耐震実験などをしっかりと行っています。そういったデータからも分かるように、建築基準法に基づいて建てられた住宅は、それだけの揺れに耐えうる力を備えているのです。

東日本大震災で分かった 木造住宅の強さ

2011年3月11日、日本を襲った東日本大震災は未曾有の被害をもたらしました。テレビなどで報道される映像や写真は、本当にこれが同じ国で起こった出来事なのかと感じさせるものばかりでした。

住宅が津波に飲み込まれる様子、そして倒壊した建物。
今、住んでいる自分の家は大丈夫だろうかと感じた方も多いのではないでしょうか。

今回の震災で分かったこと、それは木造住宅の強さでした。
津波を免れた内陸部では、木造家屋は屋根材や外壁材の落下で留めたところが多く、逆に頑丈そうな印象のあるコンクリート造の建物は、軒並み崩壊や亀裂が生じました。

そんな大きな揺れから木造住宅を救ったのは「木の柔軟さ」だったのです。

また今回の震災で分かったもう一つのこと。それは、地震自体の被害は少なかったということです。
これまで行われてきた建築基準法改正などによって、建物自体の強度はこれだけ大きな地震が来ても耐えうるだけの力を備えています。そのため、沿岸部は津波により建物は飲み込まれ崩壊しましたが、内陸部ではそのままでも生活が可能な住宅が数多く残りました。

これからは、耐震性よりも家を建てる「場所」が重要になっていくのではないでしょうか。

 

 

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