大分県のスギ人工林の約6割は、
今が「伐り頃」
大分県は総面積の約7割を森林が占める、緑豊かな国。そしてその約半分の森林は、人が植えて育てている人工林です※1。
終戦後の産業復興のため、大分県をはじめ日本中の山にスギやヒノキが植えられました。これらはそもそも建築資材や燃料として使うために植えたものなので、伐って使わなければ意味がありません。
中でもスギ人工林は、戦後70年余りがたった今、約6割が収穫時期を迎えています※2。食べ物に「食べ頃」があるように、木にも用途にふさわしい「伐り頃」があるのです。
木を伐って、
太陽の光が入る山をつくります
山に植えられた木は、自然に大きくなって木材として使えるわけではありません。林業に携わる人たちが山を手入れし、木を育てる作業を続けていくことが必要です。
木々が大きくなって枝葉が重なり合うと、木の成長が悪くなる上に、太陽の光が地面まで届かず、下草が生えなくなります。こうして土がむき出しになったところに大雨が降れば、土は流され、土砂崩れなどの災害を引き起こすことも。そこで木と木の間隔を適度に空けるため、定期的に木を間引く「間伐」を行わなければなりません。
下草は、地面にしっかりと根を張ることで山の土を守ってくれるだけでなく、草を食べる小動物たちのすみかとなって、生物多様性を守ることにもつながります。
それなら、最初から間隔を広く空けて植えればいいのでは?
そう思われる方も多いかもしれません。でも木材としていい木になるかどうかは成長段階でないとわからないので、たくさん植えて、いい木を見極めながら残していくのです。
こうして定期的に木を伐りながら育てていく林業の仕事が、山や緑を守っているのです。
山を守ることは、
自然環境を守ること
太陽の光が入る山では、木が元気に育ちます。木は光合成により、二酸化炭素を吸収し酸素を出すので、元気な木は空気をきれいにしてくれます。さらに木は伐られて木材になってからも、それまでに吸収していた二酸化炭素を蓄えたままなので、地球温暖化防止に役立っています。
手入れされた山に雨が降ると、雨水は土にゆっくり浸透し、ふかふかな土の「ろ過作用」によってきれいな地下水になります。これが湧き出て川の源流となり、人里に流れて田畑の水や私たちの飲料水として使われます。さらに、海に流れ込んだ川の水は蒸発して雲になり、山にぶつかって雨を降らせ、再び土に浸透します。山と川と海は、つながっているのです。
山の手入れをすることは、自然環境を守る根本です。
木を伐って山の手入れをすることが、土や水、空気をきれいにして、私たちの社会生活を支えてくれる。林業の果たす役割はとっても重要なんですね。
- ※1
- 2022年 大分県農林水産部/大分県林業統計 令和2年度
- ※2
- 2018年 大分県農林水産部/次世代の大分森林(もり)づくりビジョン H29改訂版